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| 「威風堂々」第1番 |
エルガー |
シェークスピアの「オセロ」の第3幕第3場に登場する台詞から「威風堂々」と名付けられたこの曲は名の通り、威厳と風格を備えた行進曲である。ロンドン初演時には、ときの国王エドワード7世より中間部の旋律に賛辞が送られ、後に王を讃えた合唱曲にも用いられている。
不意をつかれたように始まり、火花散る冒頭が表わすようにこの曲は戦争に基づいてかかれている。戦争とはいっても、生々しかったりどぎつい描写ではなく、さながらかわいらしい「おもちゃの戦い」のような印象を受ける。中間部の思いを込めたカンタービレは現在イギリスで第2の国歌として親しまれており、王室に対する人気、関心は我々の常識では計り知れないほどである。2度目のカンタービレの後、テンポプリモは終わりを予感させピュウ・モッソで力強くテンポアップし、てんやわんやの盛り上がりのうちに終わりを向かえる。
最近パリで事故死したダイアナ妃はイギリスのバラとまで言われた。バラが散った今となって、エルガーのこの曲はどれほどの人をなぐさめ、勇気づけたことだろう。果たして私達の今日の演奏はあなたの心にどう伝わるのでしょうか?
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| ペールギュント第1組曲 作品46 |
グリーグ |
グリーグはノルウェーの代表的作曲家です。「ペール・ギュント」とは何かと思うでしょう・・・。それはズバリ人の名前なのです。この物語の主人公の名前がそのまま題名になっているわけです。これからみなさんをペールの冒険の世界へ案内いたしましょう。
ペールは鉄砲玉のような性格で何をやろうにも後のことや周囲のことを考えずに、行動してしまう、ちょっと困った主人公です。招かれてもいない、結婚式にのりこみ、その花嫁をさらってしまいます。その花嫁にも飽きてしまったペールは一人で魔王の住む山へ向かいます。
よーく耳をすましてごらんなさい。山を登っていくペールのうしろから、一匹、また一匹とトロルがあらわれペールを山の奥へ誘っていさます。トロルの群れに包囲されたペールは恐ろしい言葉を耳にします。「ペールを殺せ!」と。(第4番「山の魔王の洞窟にて」)
ペールは知恵をしぼり、魔王の娘の婿となることで死を逃れます。けれど、人間の花嫁に飽きる程ですもの、魔物の娘なんてまっぴら。魔物たちが魔力を失う夜明けを待って逃げだします。
魔物相手にさすがのペールも故郷へ戻ります。そこで母オーセの死が訪れます。オーセはペールの冒険談に満足し、安らかな死を向かえるのです。(第2番「オーセの死」)
ペールは冒険心が再びうずきだし、アフリカのモロッコへ向います。砂漠の日の出に向かって一旗あげてやろうと誓います。目を閉じてきいてみてください。ペールが見た素晴らしい日の出を見ることができるでしょう。(第1番「朝の気分」)
ペールはベトウィン族の人々の予言者として歓迎をうけ、村長の娘アニトラに誘惑されちゃうんです。(第3番「アニトラの踊り」)
楽しい日々を送っているペールの心に年老いて、人恋しくなったせいなのか一人の女性が浮かびあがってきます。故郷でペールのことをずっと想いつづけるソルヴェイグです。富を築き上げ、人生の最後を故国で過ごそうとペールは船に乗り込みます。本当の幸せをつかむための最後の旅です。しかし、嵐にあい体ひとつでやっと故郷へたどりつきます。今までの人生はまるで泡のよう。ペールの心もボロボロです。どこからかソルヴェイグの歌がきこえてきます。〜季節はめぐって過ぎてゆく、でも私は永遠にあなたをまっています〜ペールを待ちつづけてもうすっかり白髪のおばあさん。それでもペールの心を最高に満たしてくれたのは冒険でも富みでもなく、ソルヴェイグの愛だったんです。
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| 交響曲第2番二長調 作品73 |
ブラームス |
1877年、ブラームス44才の作品である。その前の年まで20年以上の歳月をかけて書き上げた『難産』の第1番とは対照的に、スカッとひと夏で完成した。作曲されたのは風光明媚なペルチャッハというところ。そのためか曲想は比較的明るく、のびのびとしていて、『これはブラームスの書いた“田園交響曲”だ』などと言う人もいる。
ともあれその明るさのおかげで、我々のような苦労を知らぬ若造共にも取りかかりやすかったのだが、取りかかってからがさあ大変。あちこちで変な音はするわ、何分の何拍子かわからなくなるわと、ブラームス様に申しわけないことをいっぱいしてしまった。
そういった過程で思い知らされたことは、ここでもしっかり生きているブラームスの音楽の緻密さ。いくら“田園”と言われたからといって、本当にそんなタイトルがついているわけではなく、せめて『弦楽器が“田んぼのテーマ”を高らかに歌い上げると木管は鳥の鳴き声を模倣する』というようなことでもあれば、合奏のときも『そこはもっと、トリっぽく吹いてください』などと言えばよく、やるほうも楽なのだが、この純然たる絶対音楽にそんなものは存在しない。かわりにブラームスは、独自の立派な構成と天性の旋律美で勝負し、大変美しい、『うた』のある作品に仕上げている。オーケストラの編成は一般的なもの。初演は1877年12月30日、当時の大指揮者ハンス・リヒターの指揮でウィーン・フィルによって行われた。
第1楽章
はアレグロ・ノン・トロッポ。まずは冒頭。低弦であらわされるモット−動機が重要で、これは全楽章を通じて、あからさまに、あるいはひそかに用いられる。なお、リズムは、楽譜の上ではずっと3/4だが、ブラームスではおなじみのいわば『隠れ変拍子』が効果的に使われ、変化にとんだドラマが繰り広げられる。
第2楽章
はアダージョ・ノン・トロッポ。冒頭のチェロの旋律はブラームス自身も大変気に入っていたと伝えられ、なるほど名旋律である。この楽章には明るさだけでなく、寂しさや懐かしさのようなものも漂っている。
第3楽章
はアレグレット・グラチオーソ・クワジ・アンダンティーノ。舞曲風の楽しい楽章だがつくりは凝っていて、変奏曲になっているあたりがブラームスらしくてニクい。初演のとき、特にアンコールされた。
第4楽章
ではアレグロ・コン・スピリート。とにかく、進む、進む。彼の音楽の中でも、これほど一途に前向きなものは珍しい。そのためオーケストラはいつも、火の車。 |
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