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| ■序曲「コリオラン」作品62 |
L.v.ベートーヴェン |
ベートーヴェンがこの序曲を書いたのは、当時のウィーンの宮廷秘書官で、法律家であり詩人でもあったハインリッヒ・ヨーゼフ・コリンが1802年に上演した戯曲「コリオラン」が直接の動機になっている。この劇のあらすじは次の通りである。
ローマの貴族コリオラヌスは、数々の勲功を立てた後に、ローマ市民から不当にも追放を受ける。怒ったコリオラヌスは、ローマの敵ボルシア人と手を結びその軍隊を率いてローマに攻め寄せる。市民は和を願ったが彼は聞き入れない。そこで城内にいた彼の母と妻子が哀訴嘆願し、コリオラヌスもさすがにその願いを聞き入れないわけにはいかなかった。彼は囲みを解き、軍隊を本国に帰すが、後に刑を受け身を破壊させて、その悲劇的な生涯を終わるのである。この悲劇に霊感を受けたベートヴェンは1807年に序曲「コリオラン」を作曲し、これが不朽の名作として今日なお好んで演奏されている。b
この曲の簡潔直裁な手法の濃密さでは、第5交響曲の第1楽章と並んで評されされ、また劇的な感銘の点では彼の11曲ある序曲中最高といわれている。そして「コリオラン」以外の序曲が付随音楽として作られているのに対して、この序曲だけは動機があいまいで、単独な管弦楽曲として、いきなり作品発表会の曲目に現れたわけである。この頃からようやく序曲が使用目的を離れて、演奏会場の聴衆にとって、個人の創作物として意義をもち始めたことを物語るものといえる。
アレグロ・コン・ブリオ ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式
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| ■ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18 |
S.ラフマニノフ |
ラフマニノフが活躍した時代は、現代音楽への胎動が激しい19世紀末から20世紀初期にかけてであるが、ラフマニノフは、チャイコフスキーに代表される19世紀の伝統的ロシア音楽の継承に対して力を注ぎ、甘美で叙情的な旋律や色彩豊かなオーケストレーション、それに名技性などを追求した作曲家である。
1892年、モスクワ音楽院をピアノの金賞を得て卒業したラフマニノフは、ピアニストとして、また作曲家としても次第に認められるようになったが、1897年に自信満々で発表した交響曲第一番が失敗に終わり、ノイローゼに陥っていた。そんなラフマニノフを救ったのは、自らアマチュアのチェリストで、音楽に深い理解を示す精神科医のダール博士であった。博士は「君はピアノ協奏曲の作曲を始める。そしてその曲は傑作になる。」という暗示療法を試みたが、これが功を奏し、ノイローゼから開放されたラフマニノフは、1901年秋にこの協奏曲を完成させ、ダール博士に捧げた。この曲はラフマニノフの創作意欲が満ち溢れた最高傑作として、ひろく親しまれている。ロマンティックな情緒にあふれた旋律は、これを聞く人の心に響き、数多いピアノ協奏他の中でも屈指の名曲と言える。また、ラフマニノフの曲には独特の“憂愁”がある。それは単にロシアの“憂愁”だけでなく、近代人の“憂愁”が重なりあってくるようである。第3楽章の第2主題に、その名旋律が象徴的に展開されている。
- 第1楽章 モデラート
- ハ短調 2/2拍子 ソナタ形式
- 第2楽章 アダージョ・ソステヌート
- ホ長調 4/4拍子 3部形式
- 第3楽章 アレグロ・スケルツァンド
- ハ長調 2/2拍子 不規則なロンド形式
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| ■交響曲第8番卜長調 作品88 |
A.ドヴォルザーク |
ドヴォルザークが第八番目の交響幽の構想を練り始めたのは、1889年の春も終わる頃で、仕事は順調にはかどり11月にはすべてが完成した。初演は1890年2月2日、プラハでドヴォルザーク自身の指揮で行われた。
ベルリンの出版商ジムロックは、これまでドヴォルザークの作品の出版を独占してきたので、当然この新しい交響曲も自社で出版できるものと思っていたが、商魂逞しいジムロックに気分を害していたドヴォルザークは、イギリスのノヴェロから出版させることにした。1891年、ケンブリッジ大学から名誉音楽博士の学位を贈られたこともドヴォルザークの心証を良くしていたからかも知れない。
この曲が「イギリス」と呼ばれるのもそうした理由によるだけであって、音楽的な内容はイギリスとは何のかかわりもない。むしろこの曲は徹底してボヘミヤ調であり、国民主義的作曲家としての自分の遣をはっきり自覚したドヴォルザークの音楽が正面から示された作品として知られている。そして48歳という円熟期に書かれたものだけあって、民族的な要素や緩急、明暗の対比など、ドヴォルザークならではの個性的な音楽がいっそう徹底して追求されており、形式や構成の面でもこれまでの伝統的な交響曲から離れて、より大胆で独創性にあふれた作品となっている。ドヴォルザークが「新世界交響曲」を書いた後も、この8番をより高く評価していたというのも、そうした民族的でオリジナリティにとんだ内容ゆえであろう。
- 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
- ト長調 4/4拍子 自由なソナタ形式
- 第2楽章 アダージョ
- ハ短調 2/4拍子 自由な3部形式
- 第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ
- ト短調 3/8拍子 3部形式
- 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ
- ト長調 2/4拍子 自由な変奏曲形式
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