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| 組曲「展覧会の絵」 |
(津田 充・宮下 秀行編曲) |
1873年夏、ムソルグスキーは親友で建築家のヴィークトル・ハルトマンの死に大きな打撃を受けた。その翌年にこの亡友の追悼のための遺作の展覧会を見た直後、ムソルグスキーの中で「ハルトマンが沸騰」した。「五線紙の上に殴り書きする時間ももどかしい」ぐらいの激情を込めて、彼はこのピアノ曲を6月22日に書き上げた。しかしこの曲は作曲者の存命中はもとより、公開の場で演奏されることはなかった。ムソルグスキーの死後、1886年にリムスキー=コルサコフのはからいでこの曲は出版されはしたが、今日のような人気を得るのは、さらに約40年後のことである。
ボストン交響楽団の指揮者であったクーセヴィツキーは、自分が敢愛してやまないムソルグスキーのこのピアノ曲を自分のオーケストラで独占演奏をするよう、当時フランスで人気の高かった作曲家のラヴェルにオーケストレーションを頼んだ。ラヴェルは喜んでこれを引き受け、自らの全力を結集したような見事な作品に仕上げた。
初演は大成功で、それ以後クーセヴィツキーの独占使用の5年間が終わり、さらに世界中のオーケストラの主要レパートリーに含まれるに至り、本日の演奏は管楽器のみで演奏するためにさらに編曲したものにより演奏する。
- “プロムナード”
- 亡き友の作品に接する前の期待を3本のトランペットが明るく歌い出す。このメロディーは展覧会でムソルグスキーが絵を見て「歩く」感じを表したものである。
- “小こびと”
- くるみ割り人形の足の不自由なこびとが飛び跳ねているグロテスクな様子を描いている。
- “プロムナード”
- 先ほどのプロムナードのメロディーをホルンが歌い出す。
- “チュイルリーの庭”
- 明るい陽を浴びて子供たちが遊びたわむれる様子を描いた短い曲である。
- “プロムナード”
- 今度は悲しく静かな気分を表している。
- “卵の殻をつけた雛の踊り”
- 木管楽器が雛のさえずりを描いて全体ににぎやかな曲である。
- “カタコンブ(地下の墓)”
- パリにあるローマ時代のカタコンブを描いた暗く不気味な曲である。
- “パーバ・ヤガの小屋”
- ロシアの口伝にある魔法使いバーバ・ヤガの小屋の形をした時計のデザインがもとになったダイナミックな起伏の激しい曲である。
- “キエフの大門”
- 途中にコラール風な部分を2回はさんでいるが、堂々と始まり、最後には壮麗なクライマックスに至る。
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| 「リュートのための古代舞曲とアリア」第3組曲 |
レスピーギ作曲 |
レスピーギは「リュートのための古代舞曲とアリア」と題する曲を3曲作った。かれは昔の音楽家の作品を調べ、その中から気に入ったもの自己の管弦楽法で編曲することをしばしば行ってきた。この組曲もそれに属しリュートの音楽家の作品をとりあげ、近代風に管弦楽用に編曲したものである。その際に、彼は当時の音楽学者オスカール・キレゾッティが編纂したリュート曲集を参考とした。(リュートの曲は特殊な記譜法で書かれるため)
この組曲の中ではこの第3組曲が最も演奏される機会も多く、人気も高い。彼はこの曲で、原曲の持つ気品と香気を失うことなく、原曲の時代と性格に適当な和声を配し見事な管弦楽の作品に仕上げたのだった。なおりュートとは16世紀に全盛を迎えた弦楽器のことである。
<作曲年代>1931年
<楽器編成>弦5部(コントラバスは省略可)
- 第1楽章「イタリアーナ」アンデンティーノ,3部形式
- これは16世記末の作曲者不詳の作品によっている。まずチェロがピッツイカートを奏する上で、ヴァイオリンが可憐な旋律を歌う。この7小節の主題はもう1度繰り返されてから曲の中間部へと導く。中間部は対位法的になっており主題を後半で回想する。その後第一部の自由な再現である第三部があり曲は静かに終わる。
- 第2楽章「宮廷のアリア」3部形式
- これはベザールの1603年のリュート音楽集に含まれている曲に基づく。リズムは変化に富んでいるが、それゆえに奏者泣かせの楽章である。(今日の演奏では指揮者がいない・・)まず冒頭でチェロのピッツィカートの上でヴィオラが甘く感傷的な旋律を奏でる。ついで曲はフェルマータの休止を過ぎて、テンポを上げてヴァイオリンが鮮やかな旋律を歌い出す。それから更にテンポを上げてやや静かではあるが、落ち着かない部分となる。しかしその後はテンポを落として表情豊かな旋律がゆったりと歌われる。続いてピッツィカートだけの急速な旋律が出され、再ぴテンポを上げて躍動した旋律が出され最後に冒頭の部分が再現され曲を終える。
- 第3楽章「シチリアーナ」アンダンティーノ,変奏曲形式
- この曲はその名の通リシチリア島の叙情的な舞曲であり、16世紀末の作曲者不詳のリュート曲に基づく。曲は変奏曲形式で、第1ヴァイオリンに優椎な旋律を歌わせ、この主題をついで他の楽器のピッツィカートの形で飾りながら繰り返す。主題の後半の部分は極めて情熱的なものとなる。そして主題は第1ヴァイオリンとヴィオラとのカノンで現れ、第2ヴァイオリンがピッツィカートで色を添えている。これらの音型はヴィオラからチェロヘと沈むように渡され、最後に印象的に主題を少し溜め息をつくかのように回想して静かに終わる。
- 第4楽章「パッサカリア」マエストーソ〜ヴィヴァーチェ〜ラルゴ
- これは17世紀後半の作曲家ロンカルリが1692年に出版したスペイン・ギター音楽集に含まれるものに基づく。曲は主題を何回も低声部その他で繰り返して変奏を築くというパッサカリアと呼ばれる形をとる。主題は第1ヴァイオリンだけで、重々しく奏し出される。第1変奏ではヴィオラについで、第3変奏ではチェロが主題をとる。次第に様相が複雑になり、第6変奏では精力的な重音奏法で活気を呈する。その後は対位的でヴィヴァーチェになり最後の変奏では広活な動きのものとなり、続くラルゴで主題がゆったりと再度現れ曲が終わる。
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| 交響曲第8番ト長調作品88 |
A・ドヴオルザーク作曲 |
ドヴォルザークの交響曲の中では第9番「新世界より」についで、現在広く知られているこの曲は、出版商のジムロックと口論の後にイギりスのノヴェロから出版されたため、「イギリス」とも呼ばれている。
この交響曲はドヴォルザーク特有のメロディーを待ち、ボヘミアの国民主義的色彩が大変濃いものである。英雄を迎えるファンファーレがあるかと思うと黙想するようなコラールの響き、行進曲風の旋律や憂いを込めたワルツなど様々なメロディーが現れては消えていく、といった感じで、その全体に流れる豊かで牧歌的な雰囲気がなんともとっつきやすい魅力をかもしだしている。演奏の方も「構成的な全体像で、とらえる」というよりも「各楽器が各々の楽章でそれぞれの遊戯を楽しむ」といったように聞こえる。ドヴォルザークは1889年8月にこの曲を設計し、9月6日から本格的にスケッチを開始し、わずか17日間で流れるように書き下ろされ、総譜11月8日に完成した。初演は1890年2月2日にプラハで行われた。
- 第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ 4/4拍子 ソナタ形式
- この楽章は従来の交響曲には見られない導入楽節(主題を引き出すような短い序奏)が用いられているまずチェロと木管楽器によってこの序奏部が奏され、その後すぐにフルートによって小鳥のさえずりを思わせる第1主題が奏される。この主題の弾んだリズムが盛り上がり項点に達するとヴィオラとチェロにもうひとつの主題が示され、後にヴァイオリンが織り込まれて、それが落ち着いた気分の中に喜ばしさを表している。次にクラリネットによってやや憂いを含んだ第2主題が奏される。この第1、第2の主題が楽器や調性やりズムを変えて織り合わされたように登場し、曲が進み、トランペットが高らかに奏されて項点を作る。その後もそのままの緊張を持続しながら終わる。
- 第2楽章 アダージョ 2/4拍子 不現則な二部形式
- この楽章はまず弦楽器が田園的で、物悲しげな主題を歌い出し、すぐに応答するようにクラリネットの旋律が奏される。このあたりは暗い印象を帯ぴているが、その後で長調に転じ明るい部分となり、木管楽器によって優しい、ひなぴた感じの旋律が出され、続いてソロ・ヴァイオリンで旋律が奏でられる。このあたりは、ヨーロッパの片田舎の祭りを思わせる、のんぴりとした部分である。ソロ・ヴァイオりンの旋律が終わった後に全合奏があり、そこで項点を作る。その後、一時不安げな気分を出す部分があり、再度先ほどのひなびた旋律が今度は弦楽器によって奏され、トランペットのPPのファンファーレを残したまま静かに曲を終える。
- 第3楽章 アレグレット・グラチオーソ 3/8拍子 三部形式
- ワルツ風な舞曲調の楽章で、東欧的な気分にあふゞている。のびやかで・しかも少し憂いを含む旋律がヴァイオリンで歌われ、その後中間部に入る。ここで、出される素朴な感じの旋律は1874年に作曲したオベラの中から転用されたものである。その後、曲は冒頭の旋律を反復し速度を速め盛り上がり、やや静かな感じで曲を終わる。
- 第4楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ 2/4拍子 変奏曲形式
- この楽章でも交響曲の形式では珍しい変奏形式が便われている。まずトランペットのファンファーレが出され、その後この曲の基本となる主題がチェロによって出される。これが弦楽器で、いろいろと変奏されるうちに次第に速度を速め、全合奏で、主題が奏され、フルートなどで、飾り付けをした後、クラリネットとオーボエによって主題の変化した旋律が出される。それが盛り上がった後に、もう一度冒頭のファンファーレが金管楽器によって高らかに奏される。そして弦楽器だけの穏やかな旋律を経て、クラリネットがつぶやく様に主題を奏でると、フルートとオーボエがその断片を速い昔の出来事の様に奏する。そして再び先ほどの全合奏による主題が出され、さらにテンポを上げて興奮のうちに曲を閉じる。
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